新型コロナウイルスの家庭内感染について
- 2021.01.25
新型コロナウイルス(COVID19)感染症は、かつては夜の街といった特定の場所に限定された感染症のように言われてきました。しかし患者さんが増えるにつれ、特定の場所だけではなく、よくある場所(職場や家庭内)での感染が急速に広がり、現在では家庭内感染が半数以上を占めるようになりました。今回は、COVID19の家庭内感染に関する興味深い論文をご紹介したいと思います。
JAMAという論文は、医師なら一度は掲載されてみたい雑誌の一つですが、昨年12月にCOVID19の家庭内感染に関する多くの論文をまとめたものが掲載されました。要点は以下の通りです。
・家庭内感染の率は16.6%で、SARSやMERSよりも高い。
・症状のある人の方が症状のない人よりもうつしやすい(18.0%vs0.7%)。
・子どもよりも大人の方がうつりやすい( 16.8% vs28.3%)。
・配偶者の方が他の家族よりもうつりやすい(37.8%vs17.8%)。
家族は他の人よりもいっしょにいる時間が長く、密になりやすく、マスクも外すことが多いので、一人感染者が出てしまうと、家族内で広がりやすいのは容易に想像できることです。興味深いのは、子ども(18歳未満)より大人(18歳以上)の方がうつりやすいということです。これはCOVID19の患者さんが子どもに少なく、大人に多いという現状に合致する所見です。また症状のある人の方がうつしやすいということは、風邪症状が出始めたら、自宅であっても早めにマスクを着用し、家庭内感染を防ぐことが勧められます。
体調が悪い時は無理をせずに自宅内で療養することが重要ですが、家族(特に高齢者や配偶者)にうつさないためにも、自宅内でもマスクをし、可能であれば部屋を分けたり、食事も分けたりして、家族との距離を取りましょう。