オミクロン株とコロナワクチン3回目

  • 2022.03.16

現在、コロナワクチンの3回目の接種が全国各地で行われています。デルタ株に対しては、コロナワクチン2回の接種で95%の予防効果があるとされ、多くの方がワクチン接種を受けました。その結果、デルタ株はあっという間にいなくなってしまい、現在はそのほとんどがオミクロン株に置き換わっています。現在、使われているコロナワクチンはデルタ株をターゲットに作られたワクチンであり、オミクロン株には効果がやや落ちるとされています。実際、当院の発熱外来で新型コロナウイルス感染症と診断される9割以上の方がコロナワクチン2回接種済みの方です。では、3回目を接種することで、オミクロン株にどれだけ効果が期待できるのでしょうか。

最近になって、コロナワクチン3回目接種の効果がいろいろと報告されるようになりました。今回はそんな研究結果の一部をご紹介したいと思います。カタールという国で行われた研究で、コロナワクチン2回接種の方と3回接種の方で、どれだけオミクロン株感染に差があったかという研究報告です。ファイザー製ワクチンを3回接種した人は、2回接種した人と比べて、症状のある感染を予防する効果は49.4%とおよそ半分でした。すなわち3回接種で感染リスクが約半分になるということになります。モデルナ製ワクチンでも、その効果は47.3%と同等の成績でした。したがって3回打ったからといって、オミクロン株に感染する可能性は十分あり、引き続き感染対策を行っていく必要があると考えられます。

では入院や死亡とった重症のオミクロン株感染をどのくらい予防できるのでしょうか。ファイザー製ワクチンを3回接種した人は2回接種した人と比べると、76.5%とかなり高い予防効果が見られました。これらのデータから、コロナワクチンを3回接種することによって、オミクロン株にかかるのを予防するよりも、かかった時に入院や死亡といった重症化の予防が期待できる解釈することができます。65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方に3回目の接種をお勧めしているのは、このようなデータがあるからです。

3回目を接種しようかどうかと悩んでいる方は参考していただけますと幸いです。

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