ヘルパンギーナについて

  • 2023.07.05

今年は連年に比べてヘルパンギーナという夏風邪が増えてきているようです。当院でも時々見かけるようになりましたが、そんなに増えている印象はありません。昨年の夏には、ヘルパンギーナのいとこのような病気、手足口病が流行しました。今回はヘルパンギーナという夏かぜについてお話したいと思います。

ヘルパンギーナの原因
ヘルパンギーナは主にコクサッキーウイルスA型やエコーウイルスといったエンテロウイルスと呼ばれるウイルスが引き起こします。エンテロとは「腸の」という意味で、主に口から入って腸で増えるウイルスです。アデノウイルスやポリオウイルスもその仲間です。夏から秋にかけて流行することが多く、昨年の手足口病も8月から9月にかけて流行しました。

ヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナは、急に39-40度の高熱とぐずぐずして機嫌が悪かったり、食欲がないなどの症状で始まります。のどを見てみるとのどの周囲に痛そうな小さな口内炎が複数見られ、痛くて食べられなくなることがあります。乳幼児に圧倒的に多いですが、まれに大人も感染することがあります。

熱は数日で改善します。痛くてあまり食べられないだけならよいのですが、小さい子どもさんだと飲めなくなって脱水になり、点滴が必要になることもあります。まれに髄膜炎を起こすことがあり、元気がなく、ぐったりしていたり、何回も嘔吐を繰り返す場合は注意が必要です。

どのようにしてうつるのか
エンテロウイルスは患者さんの鼻水や唾液の中にいて、それらを触って口に持っていくことで感染(経口感染)します。したがって手洗いがもっとも有効な予防法とされています。エンテロウイルスはおよそ数週間にわたって患者さんの便に排泄されるので、症状が改善しても感染する可能性があります。したがって短期間だけ隔離してもあまり意味がなく、またほとんどが軽症で自然治癒するため、学校保健法でも隔離する感染症には含まれていません。ただし症状の強い時(発熱や口の中の痛みによる食欲低下などがある)は自宅で安静にしましょう。

治療法は
特別な治療はなく、ほとんどが自然に改善します。喉を痛がるときは、熱いものや辛いものなど、喉にしみるようなものは避けましょう。前述のようにまれですが、髄膜炎の合併に注意する必要があります。     

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