インフルエンザについて

  • 2023.11.14

今年は愛知県でも4年ぶりにインフルエンザ警報が発令されました。2020年からのコロナ流行以来、初めての警報です。しかも例年より流行がかなり早く、当院でもインフルエンザワクチンを接種しながら、一方でインフルエンザの患者さんを診ているような状況が続いています。今回は、インフルエンザについてお話したいと思います。

インフルエンザの症状
インフルエンザは、症状が急に現れ、他の風邪と違って鼻水、咳、のどの痛みといった局所の症状よりも、発熱、筋肉痛、全身倦怠、食欲低下などの全身の症状が強いのが特徴です。また嘔気や嘔吐、下痢などの胃腸炎症状を伴うこともあります。普通の風邪と違って、高熱が3-5日間と長く続き、熱が下がっても咳や体のだるさが数週間続く場合もあります。
ほとんどの場合、1週間ほどで自然に治りますが、まれに肺炎や脳症などの重症な合併症を起こすことがあります。合併症を起こしやすい人は、慢性的に心臓や肺、肝臓、腎臓の病気を患っている人、糖尿病の人や65歳以上の高齢者、5歳未満の子ども(特に2歳未満)や妊婦さんで、このような人たちはインフルエンザの流行する前にワクチンを打っておくことが強く勧められています。

インフルエンザの診断方法
インフルエンザかどうかは、症状の出方や程度、周囲の流行状況からおよそ推察することができますが、コロナの検査同様、鼻の粘膜を綿棒でこすって調べる抗原キットがあります。ただしこの検査は、発熱からあまり時間がたっていない状況だと、インフルエンザであっても陰性に出てしまうことが多く、発熱12時間以内だと50%くらいしか正確に判定できません。できれば発熱から24時間経過してからの検査をお勧めしています。

インフルエンザの治療法
インフルエンザの治療は他の風邪と同様、主に症状を和らげる対症療法が中心となりますが、インフルエンザウイルスが増えるのをブロックする抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザ)が存在します。熱が出始めてから48時間以内に開始することで、使わない場合と比較して24時間早く熱が下がるという効果が期待できます。また重症化しやすい人に対しては、入院のリスクを下げるという効果も期待できます。当院では、重症化しやすい人には抗インフルエンザ薬による治療をお勧めしてしますが、そうでない方には希望を聞いて処方しています。
症状の強い時はできるだけ無理をせず、自宅で安静にして、水分補給をしっかり行うことが重要です。熱さましや痛み止めを使うときは、特に18歳未満の子供さんの場合は注意が必要です。アスピリンが含まれている薬を服用すると、ライ症候群という頭や肝臓に障害を残す病気を引き起こす可能性があるからです。アセトアミノフェンという薬はそのような危険がなく、胃にもやさしいため、薬局で薬を買う際は確認することをお勧めします。

インフルエンザの予防方法
流行し始めたら人ごみを避ける、マスクを着用する、十分な休息と栄養をとる、外出後は手洗いをする、乾燥した部屋では加湿をするといったことはもちろんですが、インフルエンザが流行し始める1ヶ月前にワクチンを打っておくことが最も効果的な予防法とされています。ワクチンを打っていてもインフルエンザにかかることがありますが、その場合でも症状を軽くする効果が期待できます。

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