はしかについて

  • 2024.03.29

コロナ禍が終わりに近づき、日常生活が戻りつつ中、外国人が日本を訪れることも多くなり、また逆に日本人が外国を訪れることも増えてきました。それに伴って外国から入ってくるはしか(麻しん)が問題になってきています。愛知県でも3月に入って外国から帰国した人がはしかにかかっていたことが判明したそうです。はしかのワクチン(現在は麻しん風しん混合ワクチン)は非常につきのよいワクチンで、2回接種すれば、はしかにかかることはほとんどありません。しかし、かつての日本では、はしかのワクチンを1回しか接種していなかった時期があり、2回接種になったのは2006年以降のことです。したがって、はしかのワクチンを1回しか打っていない世代(30-40代)で、免疫が不十分である可能性があり、今問題となっています。

どのようにしてうつる?
はしかのウイルスは、空気感染という方法で周りに感染します。コロナやインフルエンザと異なり、はしかのウイルスは空気中にとどまっている時間が長く、マスクをして離れていても、同じ部屋にいるだけで感染してしまうことがあり、その感染力はインフルエンザの10倍近くとされています。

どのような症状?
約2週間の潜伏期の後、38度前後の熱と風邪様症状(鼻水、咳、目の充血、目ヤニ)から始まり、これらの症状は3-4日間続きます。その後、一時的に熱は下がりますが、再び39-40度の高熱が出て、発疹が現れます。発疹は首、顔から始まり、しだいに体、手足へと広がっていきます。咳は熱と前後して出始め、乾いた咳で発作的に出るようになり、発疹が出る頃にはさらにひどくなります。高熱は4-5日で下がり、次第に発疹も消えていきますが、色素沈着が1-2週間残ります。

はしかの怖いところは、はしかのウイルスによって抵抗力が下がってしまい、様々な合併症を起こす危険性があることです。もっとも多いのが下痢ですが、子どもでは気管支炎や肺炎、中耳炎を起こしたり、まれに脳炎を合併することもあります。

予防方法
唯一の予防手段はワクチン接種です。その有効性は高く、ワクチンを2回接種した人の95%以上ではしかに対する免疫ができます。現在では1歳早期と小学校入学前1年間に麻しん風しん疹混合ワクチンを2回接種するようになりました。現在、麻しんワクチンは製造されておらず、麻しん風しん混合ワクチンもワクチン不足が続いているため、当院では1歳の方のワクチン接種を優先しています。

はしかの治療法
はしかに特効薬はありません。基本的には症状を和らげる治療が中心となります。できるだけ無理をせず、安静にしてしっかりと水分を取ることが重要です。必要であれば解熱剤や風邪薬を使います。肺炎、中耳炎などの細菌感染が合併した場合には、抗生物質による治療が必要となります。

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