新しいワクチン
- 2024.04.09
2024年4月から新しいワクチンが仲間入りしました。肺炎球菌ワクチンと五種混合ワクチンです。
肺炎球菌ワクチンは、デビュー当時は7価(7種類の肺炎球菌に対応できる)でしたが、2013年に13価まで対応できるようになり、3月まで使用されていました。そしてこの4月に仲間入りしたのが15価ワクチンです。肺炎球菌は様々な型があるため、従来のワクチンではカバーできない型があり、それが問題になっています。欧米では20価のワクチンも使用されており、日本でも近い将来、利用できるようになるかもしれません。
次に5種混合ワクチンです。三種混合ワクチンがポリオといっしょになった四種混合ワクチンがデビューしたのが2023年4月のことです。その四種混合ワクチンにHibワクチンがいっしょになったのが五種混合ワクチンです。五種混合ワクチンは、これまで四種混合ワクチンを打ってきた人は接種できないので、これから初めてワクチンを打つ2か月の子どもさんが対象になります。これまで赤ちゃんは2か月からたくさんの予防接種を一度に受ける必要がありましたが、2つのワクチンが一緒になることで、接種する注射の数が減り、赤ちゃんの負担を減らすことができます。すでに欧米諸国では、さらに先を行き、五種混合ワクチンにB型肝炎ワクチンがいっしょになった六種混合ワクチンが使用されているようです。
こればまだ未定ですが、麻しん風しん混合ワクチンとおたふくワクチンがいっしょになったMMRワクチンが国に承認申請を出しているようです。MMRワクチンは1998年に日本でも使われるようになりましたが、副反応のために中止となり、20年以上が経過しています。ただ欧米では、幅広く使用され、実績のあるワクチンです。日本でもこれが認められ、定期接種となれば、これまでずっと任意接種だったおたふくワクチンも定期接種に仲間入りする日が来るかもしれません。
最後に子宮頸がんワクチンです。子宮頸がんワクチンは、副反応のために希望者のみに接種するという時期が長く続いていましたが、今年4月から対象者全員に接種券が郵送されることになりました。対象は中学1年生から高校1年生までの女子です。これまで1価と4価のワクチンが使用されてきましたが、2023年4月から、新しく9価ワクチンを使用することができるようになりました。9価ワクチンの特徴は、カバーできる型が増えただけでなく、15歳未満で接種を開始すれば、通常3回接種のところを2回に減らすことができるという点です。子宮頸がんワクチンのネックは、接種した時に痛みを訴える方が多く、痛みが強いと血圧が下がる反応(これを迷走神経反射と言います)が出てしまうことがあります。3回接種が2回に減れば、接種する子どもさんの負担を減らすことができます。
またこれまで接種してこなかった1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性を対象に、キャッチアップ接種が行われており、すでに接種対象を外れてしまった方も接種を受けることが可能です。この特例は2025年3月までで、あと1年を切ってしまいました。接種を完了するのに6か月かかることから、今年の夏までに接種を開始しないと間に合いません。子宮頸がんは30-40代の女性に多く、子育てママで死亡率が高いことから「マザーキラー」と呼ばれています。がんを予防できる唯一のワクチンですので、ぜひ接種していただきたいです。